JR東日本・両毛線の前橋駅。
群馬県の県庁所在地である前橋市の代表駅であるものの、あまりに活気がないように感じてしまいます。
自動車の保有が、人口100人あたり69.58台(偏差値64.0)と全国1位の群馬県であることからも、鉄道の利用率が少ないのは分かります。
それだけでなく、群馬県では鉄道の中心は高崎市の高崎駅で、高崎線・上越線・信越線・新幹線等々が集中するターミナル機能を持つのに対して、前橋駅は両毛線、いわばローカル路線の駅にすぎません。
そもそも東京から伸びてきた日本鉄道の路線は、1884年(明治17年)8月20日に利根川西岸に到達しましたが、前橋の市街地は東岸で、利根川で遮られていました。
必然的に利根川への架橋が計画されました。
逆側では日本鉄道小山駅から延伸された両毛鉄道が1889年(明治22年)に利根川東岸まで達しました。これが現在の前橋駅です。ここから、利根川に橋梁を開通し、日本鉄道も前橋駅まで乗り入れることができるようになり、東京方面からの直通列車も運転されたという歴史があります。
この時点で既に高崎駅は主要駅として機能していたことを考えると、かなりの遅れが出ていたことが分かります。
また、前橋駅の位置も市の中心部から少し離れている(市の中心部まで徒歩10~15分程度)ことも関係しているかもしれません。
そのため関東甲信越地方の県庁所在地の駅としては最も少ない乗降客の駅となっています。
実はこの駅、今は高架駅で、どこにでもある雰囲気の駅ですが、以前の駅舎は洋風木造建築で、機能性はともかく、かなり風情があって好きでした。どこか異国情緒に似た独特の雰囲気があり、前橋に訪れた、というのをそれだけで実感させてくれるものでした。駅の規模は大きくないものの、県都の表玄関であるという主張をしていた気がします。
市街地の中心ではないため、整然とした駅前と、独特の洋風建築のバランスが崩れ、機能的ではあるものの何となく味気ない駅になった気がします。