諏訪大社を訪れる人は多く、もちろん知名度も全国区といえるでしょう。
祭神は「古事記」でもおなじみの建御名方神と八坂刀売神の二柱です。当然ながら出雲系といえます。
しかし、神話に基づく諏訪大社の成り立ちとは別に、もともとこの地域にいた神については、あまり触れられる機会は少ないといえます。 それがミシャグチ神を代表とする神々で、本来の土着の神々といわれます。今に続く神事や祭祀も、土着信仰に関わるものが多いともいわれています。
現在、ミシャグジ神が祀られているのは御左口神社(みしゃぐじじんじゃ)です。
諏訪大社の上社・本宮と前宮の中間地点近くに鎮座しています。大社の境内にあるわけではなく、摂社という扱いでもなさそうです。
諏訪の根源である土着の神を祀っているにも関わらず、規模も小さく、参道もありません。
ただ、ここに立つと、不思議な空気に包まれるような感覚にもなります。周囲には一般の住宅も点在し、民家の庭の屋敷社のような雰囲気もありますが、明らかにここは異質な空間であることを感じます。
この小さな御左口神社の手前には、神長官守矢史料館があります。
ミシャグジ神を祀る祭政を司っていた者が洩矢神(もりやしん)と呼ばれ、洩矢神の子孫が、明治時代まで諏訪大社を神長官として護ってきました。
神長官とは諏訪大社・上社の神職の長で、守矢家がの敷地内に資料館がり、その先に御左口神社が鎮座しています。
この資料館の中は、かなり衝撃的です。
諏訪の御頭祭では、鹿や猪を生贄にした神事がありましたが、資料館の中で復元展示されています。
仏教伝来により殺生が穢れとなっていきましたが、もともとの日本では生贄は珍しいことではなかったのかもしれません。
ここは諏訪大社を語る上で、絶対に外せない場所ですが、観光客もまばらで逆に堪能できるともいえます。