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ネットで復活「弘法倶楽部」

弘法大師伝説をたずねて

弘法大師ゆかりの湯と秘説の湯 山梨周遊編(第10回)

思わぬ長編になってしまった「山梨周遊編」も今回で最終回です。
これからの自分のあり方の足がかりにもなりそうな有意義な時間でした。

年に一度の同行二人

℃gいの人≠ェ本堂の前を通るころには、ほら貝は静まっていた。静寂の中、一人一人静かに本堂に入っていく。この中の誰かがあるいは、お大師様の秘仏を携えているのか?それとも既に、地蔵菩薩坐像のもとにあるのか?それは現時点では分からない。

本堂内の地蔵菩薩像

本堂前は私の前に既に十人ほどが待っており、本堂の中をじっと凝視している。私も邪魔にならない程度に少し身を乗り出し目を凝らして見てみた。
やはり!既に本堂内では、地蔵菩薩像を前に護摩焚きが行われていた。

薄暗い本堂の中で、静に湛える炎を前に地蔵菩薩坐像がゆらゆらと照らされているのがわかる。どっしりしてかつ穏やかな表情だ。そして、これが…
坐像の、丁度手の前あたりになる、補助台の上の小さな黒塗りの木箱。正面の扉は閉じられているが、これこそがお大師様の秘仏なのである。

感銘している内にいよいよ本堂前の一人一人に対して厄除けが始まった。十二時を回ったようだ。私はその直前に本堂の中への目が切れてしまい、後はひたすら順番を待つだけであった。 私の番になり、前の人に習って両手を握り絞めて拝む。もう本堂の中を見る余裕はない。ひたすら手を握り締めていた。
その時の自分の心の中はもう憶えていない。また、木箱の中に秘められ、厄除け開始と同時に扉を開かれたであろうお大師様の秘仏そのものも、自らの目で確認する余裕すらなかった。
ただ、空也上人により大衆に受け継がれた信仰は、開創者である空海弘法大師の秘仏を介し初めて結実するはずなのだし、また私を含めこれだけの人々が本能的に引き寄せられるだけの歴史があるのだ。

地蔵菩薩像、秘仏のお大師様を前に護摩焚き

弘法倶楽部毎号にもよく「同行二人」にと言う言葉が出てくると思う。四国八十八ヶ所においても、普通お遍路さんは「お同行」とも呼ばれ、これは志を同じくして修行している人というほどの意味かと思われる。
しかし「同行二人」と言うときは、単に仲間の遍路というような関係ではない。言わずもがな、お大師様、弘法大師と二人連れという意味である。お遍路さんは皆一人一人が金剛杖を介し「同行二人」の旅をし、そして八十八回の出会いを実現するのだと思う。

塩澤寺の厄除地蔵尊祭りは、同行の「旅」ではない、「出会い」である。ただしそれはわずか一年に一度しか実現しないのだ。そしてその一度きりの「出会い」の中に「遍路」の旅にも勝るとも劣らない信仰が凝縮される。
そう考えると、お叱りを承知で解釈するならば「年に一度の同行二人」とも言えるのではなかろうか。

私は今回初めて初めてこの塩澤寺における厄除地蔵尊祭りを体験した。そして湯村温泉と絡み合った歴史の流れと伝統を見聞したうえでの体験であったが、自分自身のちっぽけな探究心とこのような実体験が融合するには、まだまだ幼すぎる経験でしかないかもしれない。
しかし「巡礼」、「遍路」、そして今回の厄除地蔵尊祭りに集う十万人を越える人々…。そしてその一人一人の意識や信仰心の様々が、私のような人間にも「ほんの少しだけ」垣間見れたような気もする。

その後、宮殿にて出来上がったお札をもらい、塩澤寺を後にする。祭りはこの後、明日の正午まで続くのだ。
私の体験は終了したが、「年に一度の同行二人」はまだまだ始まったばかりなのだろう。

ユムラ銀星の前にも出店が

私は出店と人ごみでごった返す温泉街を歩き、所々出店にたちどまりながら、今日の朝のお話通りユムラ銀星に立ち寄った。そして忙しい中、昼食におでんといなり寿司をご馳走になってしまった。お代は辞退される。ありがとう。女将さんには深くお礼申しあげる。

下部から湯村まで、昨日・今日と非常に濃密な時間な流れであった。まだまだ私なりの≠ェんばり≠ネどとは言えないかもしれないが、まだまだ、今後も更に様々なことを吸収していくだろうと思う。

以上で、弘法倶楽部の3号から4号にかけて掲載(4号は未遂)された「弘法大師ゆかりの湯と秘説の湯、城山・下部・湯村、山梨周遊」紀行は終了いたします。
しばらくお休みしてしまうかもしれませんが、まだまだ、下部温泉弘法秘説の続編や、秩父34ヶ所など載せたいものが幾つかあります。
その時はまたお付き合いいただければと思います。



※平成17年発刊の「弘法倶楽部」第3号に掲載されていた記事を、そのままホームページ用に掲載しております。現在とは異なる箇所がございますが、掲載当時のまま再掲載しております。


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