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ネットで復活「弘法倶楽部」

弘法大師伝説をたずねて

弘法大師ゆかりの湯と秘説の湯 山梨周遊編(第5回)

城山温泉の夕食が意表をつく内容で、なんとも楽しい思い出となりました。
しかし、本当の意味でここほど「昭和」を感じる宿は他にはなかったと思います。

贅沢な時間はあっという間に過ぎ、夕食の時間。
この宿は家族経営でかつ部屋は離れにもかかわらず、すべて部屋食である。一旦外へ出て大変であろう。敬服する。
また、桂川でとれた新鮮な川魚が焼きたてで出るのだ。M氏ともども楽しみに待つ。彼は例によって昼間のうどんはすっかり消化してしまい、極限の空腹状態のようである。

夕食のかに

かにと対決するM氏

城山温泉の朝食

やがて、宿の娘さんが夕食を運んできた。岩魚の塩焼き、山菜のてんぷらなど、すべて焼きたての揚げたてである。まずはビールで乾杯する。
片っ端から食べて片っ端から「うまい、うまい!」決して高級な料理ではないが、一品一品がすごく丁寧で心もこもっている。

しばらくして、娘さんは追加の品を持ってきた。でかい皿だ。それをみて驚いた!なんと巨大なずわいがにが、丸ごと一杯乗っかっているのだ。これにはM氏も目を丸くした。
しかしなぜ「山はあっても山梨県」の宿に“かに”が…?いやいや、今はそんなヤボなことは考えまい。素直によろこび堪能しよう!
しかしかに≠みるとM氏は大変だ。実はM氏は周りの人間から「かにの天敵」とか「かに喰いザル」とか言われるほどのかに好き≠ナある。彼は年に一回北海道に旅行しているが、「北海道のかにを全種食い尽くす」とか言っているくらいだ。私は多少気遣い、足三本くらいで我慢して彼に譲り気味となった。

彼は至福の表情でかに≠ニ対決している。よくみると彼の前歯はやや出っ歯であり、それがまた構造上、かにの身肉を効率よくそぎ落とすのに適しているのではないかとも思われる。
まもなく巨大なかに≠ヘ、すっかりカラだけの姿に変わっていた。後から女将さんから聞いたら「たまたま、横のつながりでいいのが入ったから出してみました。」ということであった。
翌日、空は引き続き快晴。窓の外の桂川が運んでくる心地よい冷気が目を覚まさせる。一応予報では今回の行程中は好天に恵まれる予定。普段のおこないが、そんなにヨイとも思わないが…、まあ悪くもないのだろうか。

寄り道はこれで一応終了。今日はM氏と別れて甲府経由で下部へ向かう。その前哨戦として充分英気を養ったつもりだ。
しかし改めて城山温泉は本当によい宿である。今回が五回目なのだが、近場ということもあり、また気が付いたら訪れていることだろう。
別れ際、女将さんとM氏共々昨晩のかに≠フ話題で盛り上がった後、今後も変わることなく頑張っていただくようお願いし、城山温泉を後にした。

今年の10月の終り頃、この記事を載せた「弘法倶楽部 第3号」をお渡しするため、女将さんに宿泊予約の電話をしたところ、ショッキングな返事か返ってきてしまいました。
「私共城山温泉は今年の10月いっぱいをもって廃業することになってしまいました…」

建物の老朽化に伴い、観光旅館としての安全性に問題が出てきてしまった。ただ責任上それをうやむやにして営業することはできない…。また、跡継ぎの問題等を考えても、総建て替えするのは不可能。
という覆しようのない理由だそうです。

女将さん近影

先日10月29日「弘法倶楽部 第3号」をお渡しするために訪れたのが、最後の訪問になりました。

記事を読んだ女将さんにはたいへん感激していただいたのが、自分にとってもささやかな喜びとなっております。

今さら「残念だ」とか「なぜ?」とか言うつもりはありませんが、寂しさは隠しようがありません。
ただ、この場をかりまして言いたいと思います。

今まで、素晴らしいお湯と、至高の時間(とき)をありがとう!



※平成17年発刊の「弘法倶楽部」第3号に掲載されていた記事を、そのままホームページ用に掲載しております。現在とは異なる箇所がございますが、掲載当時のまま再掲載しております。


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